Contrabass  Q&A

これまでにネットを通じて頂いた質問などを中心に、よくある質問をまとめてあります。
何か質問をしたい方は、まずこちらに目を通して下さい。

2018/1/16更新

【A】楽器の管理、付属品について

 

※注意!!

楽器の管理方法についてはアドバイス出来ますが、破損した場合などの対処については楽器屋さんに相談して下さい。私は演奏の専門家ですから、自分の楽器に不具合があれば、やはり楽器屋さんにお願いしています。

 

【ワンポイントアドバイス】


・練習が終わったら弓の毛は緩めて、弦は緩めないでください。

・タオルを用意して弦と弓の棹についた松ヤニを掃除しよう。

・松ヤニはビニールや布で包んでからケースに入れよう。

・楽器の弦交換、弓の毛替えは心得のある人か楽器屋さんにお願いしましょう。

・弦交換、弓の毛替えをしたら、表を作って記録を残しましょう。

 


《1》練習が終わったら弦を緩めるように言われました

 
 《回答》弦は絶対に緩めないで下さい。
     開放弦のピッチが安定しないばかりか、駒、魂柱が倒れる原因となり、最悪の場合修理が必要になります。

    

《2》弓の毛は普段から張りっ放しで良いのですか?

 

 《回答》弦とは逆に、弓の毛は練習が終わったら緩めましょう。
     張りっ放しだと棹の反りが無くなり、弓のコントロールが難しくなります。

     

《3》松脂が溶けてケースから出なくなってしまいました

 

 《回答》一度溶けてしまうと綺麗に出すのは難しいです。
     そうなる前に、購入後すぐコンビニの袋を丸く切って、松脂を包むようにして容器に入れてみて下さい。
     多少溶けても袋をつまんで引っ張りだせます。また、眼鏡を包む布が適しているという意見もありますのでご参考まで。

      

《4》弓の棹や弦に松脂がついてしまって落ちません。

 

 《回答》普段から雑巾を2枚用意して、練習後や演奏後は弓と弦をそれぞれ拭くようにしましょう。

     松脂用の専用オイルを販売しているお店もありますが、普段の心がけで予防出来ます。

 

《5》 松脂はどれくらい塗れば良いですか?

 

 《回答》これは文字にするのが難しいです。ただ一つ言えるのは「松脂に頼らずに音を出せるような右手の技術を身に付けましょう」ということ。

     特に吹奏楽では「大きな音を出したい」という気持ちから松脂を塗りたくって右手を弦に押し付けてガリガリ汚い音で弾く人をよく見かけますが、

     これでは遠くに音が響きません。吹奏楽でのコントラバスは「音量よりも響き」を求められているはずです。

     松脂をうっすら塗って、弓を弦に軽く置いて弾くだけで音は響くはずですから、その感覚を研究してみて下さい。

 

《6》 松脂に使用期限はありますか?

 

 《回答》専門店で「3年が目安」と言われた事があります。確かに3年ほど経過すると乾燥でひび割れてきて効果が薄れるような気がします。
     しかし、《3》に書いたように、布やコンビニ袋で包む事で年数を伸ばす事は出来ると思います。

     また、松脂より少し大きめの容器に松脂とタバコの湿度調整剤を一緒に入れておけば容器内の湿度を一定に保てるので、

     通常よりは長持ちさせる事が出来ると思います。

     ちなみに、私が使用しているコルシュタインはもう20年近く使用していますが、未だに感覚は一番しっくりきています。

 

《7》お薦めの松脂は何ですか?
 

 《回答》松脂は人それぞれ好みがありますので難しいところですが、吹奏楽でよく使われているのはカールソン、コルシュタイン、ポップスです。
     私は良く使うのはコルシュタインのソフト、光舜松脂、ベスポークといったところです。
     私の教則本「吹奏楽パワーアップシリーズ」に各松脂の特徴を掲載した一覧が付属していますのでそちらもご覧ください。

 

《8》松脂を塗り過ぎました。どうすれば良いですか?

 

 《回答》 硬めの歯ブラシでとかしてあげると多少はマシになると思います。
      一番の予防策は「そもそも塗り過ぎないこと」です。楽器と弓を出していきなり松脂をゴシゴシ塗る人が多いのですが、まずは5分くらい弾いてみて、
      それでも足りないと感じたら初めて少しずつ塗るようにしましょう。

 

《9》楽器はどれくらいの湿度、温度で管理すれば良いですか?

 

 《回答》数値で現すのは大変難しいのですが、高温多湿を避けるように、というのが無難な答えです。
     あえて数値を挙げるなら温度は15~25度、湿度は50~60%くらいでしょうか。但しこれが絶対とも言えません。

     私はレッスン室に除加湿器を置いて上記数値を保つようにしています。

     また、自分の楽器を持って移動する場合、乾燥時はダンピットモイズパートナーモイスレガートというアイテムを使用したうえで

     ソフトケースに入れて持ち歩くようにしています。

     どのアイテムも安くはありませんが、割れたり剥がれたりして最悪修理代10万円払う事になるよりは良いですよね。

    

     ※2023/5/1追記 最近はダンピットが8000円台まで値上がりしてしまって学生の皆さんに気軽にお勧め出来なくなりましたが、

      Humidifierという同様の役割を果たすアイテムが販売されています。こちらは2600円です!

     

 

《10》楽器はケースに入れて保管しなければいけないのですか?
 

 《回答》木で出来ている楽器ですから、ちょっとした接触で簡単に削れたり傷がついたりします。何より、楽器は家族のような存在だと思って大切に取扱うべき
     ですね。楽器を持って移動する時は、赤ちゃんを運ぶような気持ちで周囲に細心の注意を払って運搬しましょう。

     私は自宅のレッスン室では基本ケースから出していますが、乾燥時期はケースに入れるようにしています。

    

《11》楽器の弦、弓の毛の交換時期はどれくらいですか?

 

 《回答》使用量、環境によるので一概には言えませんが、毎日数時間弾くとして弦は1年に1回、弓の毛は半年に1回が目安でしょうか。

 

     ただ、学校の部活だと予算も限られるでしょうから、弦なんかはバラ売りのものを購入して少しずつ替えるというのも手段だと思います。
     弦は普通に買うと非常に高価ですが、格安で購入出来るインターネットサイトもあります。
     顧問の先生や提携の楽器屋さんに了承頂き、そちらで購入してコントラバスの先生に交換して貰えばかなり安く済みます。
     【こちらのサイトは弦が格安!】→ ウッドベース・ジェーピー
     弓の毛は「松ヤニをたくさん塗らなければ音が出ない!」という状態になったら替えどきです。

     ※コントラバスの弦には「オーケストラチューニング」「ソロチューニング」の2種類があります。

      吹奏楽などで演奏する場合は「オーケストラチューニング」を選ぶようにしましょう。
     ※「いつ、何の弦を張ったか」「いつ弓の毛を替えたか」の記録を必ず残しましょう。

 

《12》おススメの弓や楽器のメーカーはありますか?

 

  《回答》これは個人の好みと相性があると思います。弓は何本か変わりましたが、これまで全てPfretzschner(プレッチナー)を使ってきました。

      楽器もいろいろ変わってきましたが、あまりメーカーには左右されません。自分の好きな音を出しやすいものを好んで使います。


《13》お薦めの弦は何ですか?
 

 《回答》どんな音を出したいのか、どんなジャンルで演奏するのかなど環境によっていろいろだと思います。
     個人的な好みで言えば、ベルカントの音色が好きです。太くて柔らかい音色がします。以前はフレクソコアもよく使用していました。
     室内楽ではフレクソコアのソロ弦をオーケストラチューニングにして弾く事もありますが、パワーが落ちるので吹奏楽には向いていません。
     私の教則本「吹奏楽パワーアップシリーズ」に各弦の特徴を掲載した一覧が付属していますのでそちらもご覧ください。

 

《14》弦を張り替えたらピッチがすぐに下がってしまいます

 

 《回答》弦を替えてからピッチが安定するまで数日かかります。

     こまめにチューニングをしてあげること、それから一度《軽く》弦を引っ張ってから調弦するようにすると安定し易いです。

 

《15》弓の毛は何色が良いですか?

 

 《回答》好みの問題です。柔らかい音色を求めるなら白、硬い音を好むなら黒が良いと思います。

     カラー毛のバリエーションも増えていますが、カラーは黒毛と同じです。

     白黒ミックスも可能ですし、楽器屋さんによっては白毛の種類を何種類か取り揃えて選択させてくれるところもあるので、相談してみましょう。

 

《16弓の毛がすぐ黒ずんでしまいます。
 
 《回答》楽器屋さんに聞いたところ、①毛替えをしていない、②松脂の塗り過ぎ、③弓ケースの中の生地が古いといったところが原因のようです。

     ③については、雨の日にデパートなどで配布されている、傘を入れるビニール袋に弓を入れてから弓ケースに片づけると予防になります。

 

《17カーボンの弓をどう思われますか?
 
 《回答》木を使用している弓と比べてカーボンは感触が違いすぎて、私は苦手です。

 

《18吹奏楽部でコントラバスをやる事になったのですが、とりあえず弓を買うなら何がいいですか? 

  

 《回答》メールにてご相談ください。

 

《19プロが仕事で使っている楽器と弓の値段は最低いくらくらいしますか? 

  

 《回答》様々だと思いますが、個人所有となると、楽器で200~300万、弓で30万くらいが最低ではないでしょうか。

     

《20チューナーは何を使用していますか?
 

 《回答》私は駒に挟める「Flanger FT-12C Clip-on Chromatic Tuner」というクリップチューナーを使っています。価格も1000円とお得なうえ、とにかく低音
     の反応が良いので使いやすいです。
     中学・高校などの吹奏楽部では「譜面台に乗せた四角いチューナーから長いマイクのコードを引っ張って駒につけている」という風景をよく見ますが、
     コードをつけたまま移動しようとしてチューナーを落としたり何かと不便です。クリップチューナーは駒に付けたまま移動も出来ますし、練習中もすぐ
     にピッチを確認出来るので便利です。

    

《21》楽器を野外で演奏しても問題ないですか?

 

 《回答》正直おススメは出来ません。楽器に太陽光が直接当たるのは悪影響です。

     どうしても野外で演奏しなければならない時は、可能な限り外に出す時間を短くするよう心がけましょう。

     私は野外での演奏を依頼されたらレンタル楽器を用意して頂くか、それが出来なければ出演をお断りしています。

     

《22》なぜオーケストラでは楽器の左側を下に向けて椅子に置いているのですか?

 

 《回答》楽器の右側を下にして置くと魂柱が倒れたり、それにより板が割れたりする事があるからです。

       

 

《23》楽器を弾くと「ビー」という雑音が鳴ります

 

 《回答》多くはヘッドのネジのどれかが緩んでいる事が原因です。全て締め直してみて下さい。
     それでも改善しない場合はヒビや剥がれ、またはヴォルフトーンを疑いましょう。そうなったら楽器屋さんでの修理が必要です。
       また、学校などの教室では蛍光灯などが共鳴する事もあるので、どこから音が鳴っているか確認してみましょう。

《24》家で音出しが出来ないのでサイレントベースの購入を検討しています。

 

 《回答》これは難しいですね。弓を使った練習をしたいのであれば、サイレントベースは向いていないと言わざるを得ません。僕はかなり違和感を感じます。
     ただ、調整によってかなり変わるとも聞いた事がありますので、どうしてもサイレントベースを購入されるなら楽器屋さんに念入りに調整をお願いする
     ようにしましょう。

 


【B】技術について

【ワンポイントアドバイス】 

・よほど抜群のセンスでもない限り、教則本無しで上達するのは無理です。学校に無ければ先生に相談してみましょう。

・基本的に弓はたくさん使いましょう!!演奏会を見ていても、弓が少ししか動いていないと何だか頼りないですよね。

・演奏中は弓が常に弦の同じ場所を弾くように気をつけましょう。弓が滑っていると弦は正しく振動しません。

・左手の基本フォームは正しい音程、無駄のないポジション取りをするのに必須です。楽な形に逃げず、基本フォームをしっかり作りましょう。

・細かく速い音符のときは弓を使わず、手首を柔らかくして弾いてみましょう。 

・弓順、運指にはきちんと意味があります。音符の意味を考えながら決めてみましょう。 

 

《1》おすすめの教則本は何ですか?

 

 《回答》もちろん、私が執筆した「入門者のためのコントラバス教本」をお薦めします。

     これは弦楽器の知識がない顧問の先生でも、生徒さんの進度を確認出来る表がついています。また、近年ソロコンテストでの選曲の質問が多いので、

     初心者のコンテスト向きの1曲として「カプッツィ/コントラバス協奏曲第1楽章」の楽譜、伴奏譜が付録に、さらに演奏がDVDに収録されています。

     これも私の著書ですが「パワーアップ吹奏楽!コントラバス」も他の楽器とのシリーズものとして発売されています。

 

     私の2冊で基礎的な事を学んだら、シマンドルの「NEW METHOD FOR DOUBLE BASS」や「30ETUDES」、檜山薫「HIYAMAノート」などが良いと

     思います。これらはかなり難易度も高く根気が必要ですが、ちゃんと練習すれば確実な技術向上が得られます。

    

《2》毎日やっている練習はありますか?

 

 《回答》楽器を触ったらまず遅めのテンポのロングトーンと全調のスケール、分散和音をやっています。

     最近はそれに加え、クロイツェルのエチュード1番を弾くときもあります。

   

《3》大きな音を出したいのですが。

 

 《回答》基本的には弓をたくさん使い、弓は常に弦の同じ場所を弾くように心がけます。意外とこの2点が出来ていない人が多いです。

     適度な松脂の量と適度な右手の重さを弓に乗せて弓の毛がしっかり弦を噛んでくれれば、ある程度しっかりした音は出ます。

     この「適度な」が難しいのですが・・・・。要するに正しいフォームできちんと弾けば楽器が持っている力は引き出せるという事ですね。

     但し、中学・高校吹奏楽部にあるような楽器には、正直力の限界があります。

     管理状態も悪い場合が多いですし、そのような楽器ではプロでも苦戦する事を知っておきましょう。

     また、「大きな音」にはいろんな種類があります。
     音符や音型によっても弾き方を変える必要があるので、プロのレッスンを受ける事をお勧めします。
 

     最後に、単純に「大きな低音」が欲しいならテューバを増やせばよいと思っています。

     コントラバスは「管楽器にない『響き』」を出すために吹奏楽に補充されている事を忘れないで下さい。

   

《4》ピアノ以下の音量(p、ppなど)では弓をあまり使わないように言われています

 

 《回答》間違いではありませんが、弓をいっぱい使って圧力を弱くしたほうが、遠くまで響く「生きているpp」が出たりもします。

     その曲の雰囲気などから【弓を置く場所・速度・圧力・量】を使い分けましょう。

     

《5》指が弱いので、指立て伏せをしたら効果はありますか?

 

 《回答》ありません。指を傷めるばかりか、余計な筋肉で速い音符が弾けなくなる可能性すらあります。

     楽器に必要な筋肉は楽器の練習で身につけましょう。

     参考までに、ギタリスト用の「指を強くするトレーニング器具」などもありますが、効果は期待薄です。

   

《6》ピチカートが鳴りません

 

 《回答》楽器のポテンシャルと奏法のどちらに原因があるか分からないので、プロのレッスンを受けては如何でしょうか。
     私は一発ボーンと鳴らしたい時は指板の切れ目よりやや上、硬めの音が欲しい時は楽器の肩よりも上の方を弾くようにしています。

     右手の場所も大切ですが、左手がしっかり押さえられていないとやはり音がきちんと鳴らないので、どちらも気を使って練習してみて下さい。

     

     それから、「弦は横にはじく」という原点を忘れないようにしましょう。
     プロがピチカートの際に腕を前方向に振り上げているのを見て真似する人が多いのですが、細かく指先に注目すると、横にはじいています。

     弦をはじいたあと、音を遠くに飛ばすイメージで腕を前に振ると良い音がします。運動のフォロースルーのようなイメージですね。

    

《7》「音程が悪い」と言われます

 

 《回答》これはコントラバスで最も多い悩みかもしれません。

     原因としては ①技術不足、②練習不足、③楽器のコンディションが悪い というところだと思います。

     
     ① まずは右手も左手も基本フォームがしっかり出来ているか見直してみましょう。

       特に左手の基本フォームは、最低限教則本に載っている形をキープ出来るようにしたいところです。

       それから、弓が綺麗に使えていないとピッチが安定しません。弓が弦に対して直角に弾けているか、同じ場所を弾いているか再確認しましょう。

     

     ② ①がしっかり出来ているなら、後は練習が足りない可能性が高いです。スケール練習を毎日やるのがもっとも確実です。

       この時、指板のマークなどを見ながら練習すると耳が育たないので、左手を見ないで同じ音を何度でも正確に取れる練習をしてください。

       ピアノを弾いてもらって合わせるのが理想ですが、部活などではそうもいかないでしょうから、チューナーと睨めっこして練習しましょう。

 

     ③ 弦が古かったり、駒が曲がっていたり、指板が削れているなど楽器が弾きにくい場合もあります。たまに楽器屋さんに見て貰うと良いでしょう。

     プロのレッスンを受ける事で改善策が見つかるかもしれません。

     

《8》「弓は床に平行に」と言われますが、プロでもそうなっていない人を見かけます

 

 《回答》一度は基礎をしっかり固めた状態から理想のフォームなどを求めて変化していったものだと思います。

     最初から真似をせず、まずはしっかり弓を真っ直ぐ使う練習をしましょう。

    

《9》速いパッセージが弾けません

 

 《回答》技術的には右手の脱力を意識し、細かい音符なら弓を使い過ぎないよう意識します。左手も、最も無駄の無いシフティングを考えましょう。

     あとは練習あるのみ。まずは左手がシフトする箇所だけを抜き出して練習します。

     次に、テンポを指定の半分くらいに落として1拍、1小節ずつから練習し、メトロノームで5ずつくらいテンポを上げていきましょう。

     考えながら練習するほうが、むやみに速いテンポで無意識に何度も練習するよりも早く良い結果が得られると思います。     

  

《10》「右手の力を抜け」と言われますが、どれくらいの力で弾けば良いのか分かりません。

 

 《回答》プロのレッスンを受ける事が上達への一番の近道だと思います。
     感覚を言葉で説明するのは大変難しいのですが、卵を右手に包んで割れないようにする時の力の入れ具合に近い気がします。

     また、一番いったん弓の毛を緩めてから、少しだけ張った状態で弾いてみましょう。

     右手に力を入れず、毛がきちんと引っかかって弦を捉えていれば、それでも音が鳴るはずです。

     その時の右手の力加減がちょうど良いと思います。一番大切なのはガッチリ弓を握り締めないことです。
     私の教則本「入門者のためのコントラバス教本」でも触れていますので、読んでみてください。

 

《11》ソロコンテストに出場したいのですが、どのような曲を演奏すれば良いですか?

 

 《回答》ある程度本気で入賞を目指したいなら、カプッツィのコントラバス協奏曲第1楽章などを演奏出来るレベルになってからにしましょう。

     この曲の楽譜・伴奏譜は私の著書「入門者のためのコントラバス教本」の付録についていますし、演奏もDVDに収録してあります。

     それ以外ではテレマンやマルチェロ、エクレスのソナタ、少し高いポジションも弾けるならピフルのコントラバス協奏曲などがあります。

     シマンドル「30の練習曲」も伴奏譜が発売されていますから、こちらの最初の方の練習曲でも良いと思います。

     とりあえず出られれば良いという方は「コントラバス名曲集」といった簡単な曲集も発売されていますので調べてみてください。

 

《12》テューバや低音木管と音程が合いません

 

 《回答》管楽器はピッチが高くなる楽器ですから、少し高めに取ってあげると良いかもしれません。
     「どちらが悪い」という発想だと人間関係も悪くなりますから、お互いに歩み寄るよう努力すると良いですね。

     ピッチは友情、という言葉もあります。

 

《13》分奏の時は金管、木管どちらに参加すれば良いのですか?

 

 《回答》私は木管を推奨しています。
     金管に参加しても正直あまり聞こえないですし、木管のほうが自分の音を認識出来て練習になります。

 

《14》指揮者が「じゃあ金管だけ」「木管だけ」と指示した場合、どうすれば良いですか

 

 《回答》私はどちらの場合も演奏するようにしています。そのほうが楽器に触る機会も多いですからね。

 

《15》コントラバスを弾く時は立奏、座奏のどちらが良いですか

 

 《回答》私は座奏を薦めています。
     「昔は立って弾いていたのだから立つべきだ」という意見もあるようですが、時代の進化と共に変わるべきものはあると思っています。
     事実、座奏と立奏では圧倒的に座奏が楽ですし、腰や左手への負担が少ないです。

     特に長時間の練習を強いられる吹奏楽部では、バス椅子を使用する事で身体を守る事が出来ます。

 

《16》バス椅子を使う事に慣れません

 

 《回答》コントラバスを最初に構えたときも慣れなかったはずです。自分の感覚に合った座り方をして練習していれば、いつの間にか楽になりますよ。

《17》インターネットではいろんな奏法の情報があって、どれが良いのか分かりません

  

 《回答》インターネットから正しい情報を得るのは非常に難しいです。

     そもそも感覚が大きな割合を占める音楽において、文字で楽器の技術を学ぶ事には限界があります。
     
     ネットの情報では、特に匿名のものについては信頼性を疑うべきだと思います。名前を出していない時点でその人は責任を負っていません。
     後は名前を出している人が普段どのような活動をしているかを見て、自分が信頼できる奏者・情報かどうかを見極めましょう。
     忘れてはならないのは「タダほど怖いものはない」という事です。

  

《18》スピッカートをすると弓が跳ねすぎてしまいます。太い音を出しつつ一定のテンポで跳ばすコツはありますか?

  

 《回答》プロのレッスンを受ける事が上達への一番の近道だと思います。

     一応言葉で記すなら、跳ねすぎるという事は弓をコントロールしきれていないと思われます。

     右手の指先、手首が固まっていませんか?手先を柔らかくして指先で弓をコントロールする意識を持って練習してみて下さい。

     それから、弓を縦に跳ねるイメージで弾くと音が細くなるので、弦を横に振動させるイメージで弾いてみて下さい。

     小さい音は指先でコントロールし、大きな音は腕全体を振り子のように振ると良いです。

     いずれにしてもスピッカートでクリアな音を出すよう研究・練習していけば、大きな音や一定のテンポで弾く技術は後からついてきます。

     スピッカートは習得に時間がかかる技術なので、とにかく反復練習が良いですよ。

     ベルリン・フィルのエディクソン・ルイスなどはソロでもスピッカートをたくさん使っているので、ぜひ動画を参考にして下さいね。
     
   

《19》部活で弾いていますが、音量の幅がいまいち足りない気がして…おすすめの練習法や筋トレはありますか?

   

 《回答》音量については《3》を読んで下さい。それから筋トレについては《5》に書いてあるように、楽器に必要な筋肉は楽器の練習で身につけましょう。
     私もジムでトレーニングをしていますが、あまり筋肉がつくと音色が硬くなるので、体力維持のランニングと体幹トレーニング程度にしています。
    

《20》ピツィカートの早弾きのコツが知りたいです…

    チャイコフスキー4番3楽章のテンポでffを要求されて困っています…

   

 《回答》僕も知りたいです 笑

     これに関してはとにかく練習するしかないと思います。エチュードをピチカートで弾いてみるなど、いろんなバリエーションを練習しましょう。
     使う指の本数も、1本指、2本指と自分にあった弾き方を研究してみて下さい。
     チャイコフスキーの4番3楽章くらいなら、しっかり練習すれば1本指でも十分出来るようになりますよ。

 

《21》中1の女の子が正しいポジションで正しい音程で弾けるようにするために、何をやらせれば良いでしょうか、、

    単純に握力が足りてないのも原因だと思うのですが、、、

 

  《回答》そもそも体格的にコントラバスに合っていないと言ってしまったらお終いなのですが・・・・

      バス椅子に座って弾く事で左手への負担はかなり軽減されます。

      それから、ハーフポジションでスタートするのではなく、第3ポジションくらいからスタートすると指に負担をかけずに練習出来ると思います。

      コントラバスを担当する生徒さんを選ぶときは、①左手が大きい、指が長い ②背が高い の順番に選考されると良いです。

 

《22》楽器にシールを貼るポジションマークについてどう思いますか?

 

  《回答》別に構わないと思います。ガムテープを貼ったり、鉛筆で指板に書くよりも楽器には優しいです。
      僕も貼っていますし、プロでも最近は貼っている人が多いのですが、これはあくまでも目印で、実際の演奏中にはほとんど見ません。

      吹奏楽部の人はシールを貼ったら楽譜を見ないでシールばかり見てしまう人が多いので、これが非常に問題だと思います。

      楽譜や指揮者、そして他の楽器とのコンタクトなど見なければいえない場所はたくさんあるので、シールはあくまでも目安にしましょう。
      それから、シールを貼っても調弦が狂えばピッチは合いません。最後は耳を使う、という事を忘れないようにすると良いですね。

     

《23》吹奏楽の曲でハーモニクスを演奏すると周りとピッチが合いません。

 

  《回答》管楽器は基本的にどんどんピッチが上がりますから、合わなくなりやすいですね。

      ハーモニクスのとき、弦に触れながら少し外側(G線側)に引っ張ってあげると、ピッチを高めにする事が出来ます。

      それでも合わないようなら、もともと高めにチューニングするか、周囲にピッチを下げて貰うしかないですね。

 

《24》シフティングや跳躍を速く行うための練習方法はどのようなものがありますか?

   

 《回答》シフティングも跳躍も指が弦を滑るように移動するのが理想なので、肘を支点にしたオクターブのグリッサンドなどをやってみると良いと思います。

  

《25》ハイポジションの3の指でうまくビブラートがかけれらません。良い練習方法はありますか。

   

 《回答》3の指で普通に押さえられるという前提で、親指を振るようにしてビブラートの感覚に慣れます。
     それからメトロノームに合わせて四分、八分、十六分、三連符の波でビブラートをかける練習をしてみて下さい。
     きちんとやれば1ヶ月くらいで成果が出ると思います。

  

《26》ハーフポジションの重音のコツを教えて下さい。4.2で押さえた時がハモりにくいです。

  

  《回答》演奏を見ていないので想像ですが、4の指の押さえが甘かったり、2と4の幅が狭くなっている可能性があります。
     それぞれの指の位置を確認し、次に4を鳴らしてから2を重ねる練習をしてみましょう。4の音を大きめにするとバランスが良くなると思います。

 

《27》中1です。コントラバスを始めて3ヶ月経ったのですが、演奏中に左手が痛くなる音があります。
   親指の付け根辺りが痛くなってしまうのですが、力の入れ方が下手なのでしょうか?
   慣れてくると無駄な力を入れずに弾けるようになるらしいんですが・・・
   こんな僕でもうまくなれるのでしょうか?

   

 《回答》フォームを見ないと何とも言えませんが、痛みが出るという事は構え方などが合っていない可能性は高いですね。
     最初は高めのポジションで弦を押さえる感覚に慣れると良いかもしれません。あと、バス椅子を使うと左手への負担はかなり軽減されます。

 

《28》音量の変化が無く平行の演奏だとよく言われてしまいます。
    音量の幅を広げるための練習はどのようにすれば良いでしょうか。
    また、スフォルツァンドはどのように弾けば良いですか。

   

 《回答》音量の幅を出すポイントは右手です。弓のスピードや量、弓を置く場所、右手の重さなどの変化で幅を広げましょう。
     スフォルツァンドは文字で表すのは難しいですが、これも右手の重さとスピードですね。瞬間的に弦をえぐるようなイメージで弾いてみて下さい。

 

《29》左手の形が決まりません。どのようにすれば良いでしょうか?
    それと、高い音を出そうとするとギーッと音が鳴ってしまいます。その改善策を教えて下さい。

   

 《回答》ごめんなさい、情報が少ないですし文字で回答しきれる内容ではないと思われますので、プロのレッスンを受ける事をお薦めします。

 


【C】レッスンについて

 

《1》個人レッスンはいつでも受け付けていますか?

 

 《回答》僕は生徒数に上限は設けていないので、いつでも受け付けています。 

 

《2》体験レッスンはやっていますか?

 

 《回答》体験は受け付けていません。

   

《3》レッスン代を払い忘れがちです 

 

 《回答》大変失礼になるので、忘れっぽい人はレッスンが始まる前に渡す癖をつけても良いかもしれませんね。
     または月謝袋を用意し、レッスン代を渡した後先生に判を貰うようにすると忘れる事がなくなります。

    

《4》先生への連絡はメールで良いですか? 

 

 《回答》一般社会では「電話→メール」が原則です。先生に了承を得られてからメール連絡にするのが最善でしょう。

     また、なるべく顔文字、絵文字は使わないこと。先生は友達ではありません。

     意外に知られていませんが「了解」という言葉は目上の人が使う言葉です。「かしこまりました」「承知致しました」が無難です、注意しましょう。

     ちなみに私はレッスンの日取りを決めるくらいならメールでも構いませんし、慣れてきた生徒さんはLINEなどでレッスン日を決める事もしています。 

     

《5》レッスン日時はどうやって決めていますか? 

 

 《回答》演奏は不定期な仕事なので、こちらから翌月の空いている日を伝え、選択して貰います。

     稀に自分から日時を指定してくる方もいらっしゃいますが、まずは先生の予定に合わせるべきです。 

     

《6》部活の曲が多いのでレッスンの曲を練習出来るか不安です 

 

 《回答》目の前の部活の曲に必死になってしまうと、むしろ成長は遠回りになります。

     吹奏楽の曲はオーケストラに比べると技術的な難易度が低く、基礎さえ固めれば比較的楽に弾けるようになります。

     ですから私は基礎中心にレッスンを進め、部活の曲は生徒さんから特別お願いされない限り、弓順と指遣いを決める程度にしています。 

     

《7》部活が忙しくて、あまりレッスンに時間が取れません 

 

 《回答》レッスンに通うことは技術向上の近道、部活への還元になりますから、部活ではレッスンが理由であれば早退を認めているところが多いようです。

     私の生徒さんも、ほとんどが部活を早退して来ていますから、顧問の先生に相談してみたらいかがでしょうか。

     よほど大切な本番や練習でもない限り、部活最優先でレッスンも認めないというのは、私には正直理解致しかねます。 

    

《8》定期的にレッスンに通っていますが、なかなか成果が現れません。 

 

 《回答》先生は魔法使いではありません。

     音楽的なヒントや練習方法こそ教えてくれますが、実際に練習するのは自分ですから、まず自分自身が十分練習しているか考えて見ましょう。

     また、レッスンの際に集中していない為に、先生の伝えたいことが正しく理解出来ていない場合が非常に多いです。

     レッスンが終わったあと疲労困憊になるほど集中していて、練習もこれ以上出来ないくらいやっているのに向上しないのであれば、

     それは先生の指導力不足、または相性が悪いのかもしれません。 

 

《9》先生が人によって違う事を言っているようです。

 

 《回答》全ての人が同じ身体の作りではないのと同じように、指導も人によって変わるのは普通の事だと思います。

     「〇〇さんにこのように仰ったのにどうして僕にはこう指導するのですか」と、疑問を持ったら質問をしてみれば良いと思います。

     きちんとした先生なら全て理由を説明出来るはずです。

 

     


【D】楽器の購入について

 

《1》楽器の購入の際、先生に相談したほうが良いですか? 

 

 《回答》もちろん、必ず相談して下さい。

     先生にはそれぞれ懇意にしている楽器屋さんがあり、先生の顔ならではの割引や特典がついてくる場合が多いです。

     相談せずに購入すると先生から「信頼されていないのかな?」と思われてしまいますよ。 

   

《2》楽器を選んで頂いたら先生へのお礼は必要ですか? 

 

 《回答》昔は購入者を紹介すると選定料として価格の1割を楽器屋さんが先生に支払う仕組みもあったようですが、近年はほとんど無いようです。

     生徒さんは選定に割いてもらった時間拘束料としてレッスン1回分の現金や商品券、または交通費+お菓子など気持ちを示せれば良いと思います。 

    

《3》購入を検討している楽器や弓は一定期間借りる事も出来ますか? 

 

 《回答》ほとんどの楽器屋さんで借りることが出来ます。

     ただし、非常に高価な物ですし、借りている間はまだ自分のものではないので、自分で保管するようにして、肌身離さず持ち歩きましょう。

     もちろん、部活で使って学校に置いてくるような事は絶対にせず、自宅に持ち帰って下さい。

     他人の子供を預かっている、くらいの気持ちが必要です。    

 

《4》大学でも吹奏楽部に入ろうと思っていて、楽器を購入したいと考えているのですが、

   やはり5弦より4弦の方が吹奏楽向きなのでしょうか? 

 

 《回答》特に「どちらかが吹奏楽向き」というのは無いと思います。

     例えばソロも弾いてみたいとお考えなら4弦のほうが圧倒的に弾きやすいですし、用途によりますね。
    

《5》おススメの弓や楽器のメーカーはありますか?

 

  《回答》これは個人の好みと相性があると思います。弓はこれまで全てPfretzschnerを使ってきました。

     楽器はいろいろ変わってきましたが、あまりメーカーには左右されません。太くて柔らかい響きのものが好きです。

 

《6カーボンの弓をどう思われますか?


 《回答》木を使用している弓と比べてカーボンは感触が違いすぎて、私は苦手です。

 

《7吹奏楽部でコントラバスをやる事になったのですが、とりあえず弓を買うなら何がいいですか? 

  

 《回答》メールにてご相談ください。

 


【E】音高・音大受験について

 【受験の流れ】 

 

・音楽大学や音大附属高校を受験する場合、受験校の先生に学ぶことが最も合格への近道です。

 ですが音大の先生は多忙な方も多く、レッスンの回数があまり取れない事も多いようです。

 私はだいたい1~2年で基礎を固め、数曲弾けるようになるまで担当し、受験の1年前に志望校の先生を紹介するようにしています。
 場合によっては受験まで私と音大の先生のダブルでレッスンというケースもあります。

 実際これまでにこの流れで音大合格者を輩出しています。

 

音大に合格する=プロになれる、という事ではありません。

 実際、卒業後楽器を辞めてしまう人がほとんどですから、将来本気でプロになりたいのか、どれだけ苦労を出来るか良く考えて進路を決めましょう。 

 

《1》音大を受けたいのですが、どこが良いですか? 

 

 《回答》あなたのレベル、目標、家庭の経済状況によって選択肢はさまざまです。
     私は一度演奏を聴かせて頂いて、現在のレベルと伸びしろ、ご両親の経済状況、大学側の先生との相性など考えてから決めるようにしています。 
     入学したい学校もあるかもしれませんが、希望を伝えたあとは先生の判断に任せるのが良いと思います。

 

     それから、【音大に入る=プロになれる】ではありません。
     むしろ苦労した挙句音楽の道を離れる人が圧倒的多数であるという現実をしかり捉え、自分にどれほどの覚悟があるかよく考えましょう。

 

《2》途中で気が変わったらどうすれば良いですか?

 

 《回答》音大を受験するとなれば、ご両親、レッスンの先生など自分ひとりだけの問題ではなくなります。

     途中で投げ出したりする事が無いよう、まず音大受験を決める段階でどこまで本気なのか、真剣に検討しましょう。

 

《3》受験に楽器は必要ですか?

 

 《回答》学校の部活の楽器を使えるのであれば、早い段階で購入する必要はないと思います。

     ただ受験が近くなり、部活も引退してからは自宅での練習に楽器が必要になるでしょうから、その前にご両親や先生と相談しましょう。

     弓だけは最低限のものを早目に購入すると良いと思います。
  

《4》音大を卒業していないとプロにはなれませんか?

 

  《回答》ただ音楽の道だけで生計を立てられるようになる事を「プロ」と呼ぶなら、音大に行かなくても方法はたくさんあると思います。
     それが「オーケストラに入る」「ソリストになる」という目標なら、音大に入る事が近道だとは言えるでしょうね。


     一つ知っておいて欲しいのですが、音大に入学してくる人たちもみんな「プロになりたい」と思って入ってきます。
     音楽大学では音楽の様々な知識を身につけ、オーケストラで活躍中のプレイヤーにレッスンを受け、刺激を得る事が出来ます。
     良い成績を収めればオーケストラの仕事に呼んで貰えて、早くから現場の厳しい空気を経験出来ますし、そこからオーディションを受けて

     チャンスを物にした人だけがオーケストラに入団出来ます。音大でも、1学年からプロは数人誕生するかどうかです。
     音大に入ってすらそのような厳しい環境なので、音大に入らずにプロの道を目指すとなると、血の滲むような努力が必要になるでしょう。

 


【F】その他の質問

  
《1》いつからコントラバスを弾いていますか?また、どうしてコントラバスを弾きたいと思ったのですか?

 

 《回答》コントラバスを始めたのは高校2年生からです。
     最初に通った高校を退学になって、「吹奏楽部に入る」という条件で転校した先が当時の吹奏楽名門校でした。
     学校に行ったら「これが余ってるからやれ」と与えられたのがコントラバスでした。

     最初は嫌々でしたし、へ音記号も読めませんでしたが、練習して弾けるようになるにつれ楽しくなって音大受験を目指すようになりました。
   

 2》これまでどんな先生に教わりましたか? 

 

 《回答》最初は高校の吹奏楽部で、先に楽器を始めていた同級生に基本を教わりました。
     この時期、ヴァイオリニストだった祖父・鷲見四郎にも自宅で練習方法などを教えて貰いながら、部活に外部講師としていらっしゃっていた

     景山貴之先生に月1度程度レッスンを受けました。

     高校3年になって音大を受験する事に決めてから大学を卒業するまでは永島義男先生に師事。

     大学在学中、ウィーンフィルのギュルトラー先生が何度か来日された際に、数回レッスンを受けました。

     大学を卒業してからはドイツ・ベルリンに留学し、元ベルリンフィル首席のツェパリッツ先生に毎週レッスンを受けました。
          

《3》吹奏楽でコントラバスは聞こえないと言われますが、どう思いますか? 

 

 《回答》何とも思いません。
     そもそも、吹奏楽ではコントラバスに音量を求めていないはずです。大きい低音が欲しいならテューバを増やせばよいのですから。

     コントラバスが吹奏楽に入っているのは「弦楽器特有の響き」を補強するためです。ですから、私は力を抜いて柔らかい音で弾く事を意識しています。
     
     また、吹奏楽で強奏時にコントラバスが聴こえないのは当たり前ですが、ちゃんと楽器を鳴らすことが出来ていれば、響きは客席に伝わります。

     特に、中低音楽器のピッチが揃っていて、コントラバスが正しい音程できちんと弦を振動させていれば、はっきりと存在感が現れます。


     私は、「コントラバスが聞こえない」という人は「弦楽器特有の響き」を聴き取れていないのではないかと思います。

     実際私は吹奏楽コンクールを聴きに行って、「コントラバスが聴こえない」と思った事はほとんどありません。
    
     それから、客席に届かなくても、周囲の低音木管などには音が届いていますから、一つのピッチの基準となる事が出来ます。

     「聞こえているかどうか」という議論自体、意味がないですね。

 

     先日、吹奏楽コンクールを聴きに行った時にテューバがいなくてバスクラとコントラバス1人ずつという中学校がありましたが、

     素晴らしい低音でバンドを支えていました。ちゃんと弾けていれば十分戦力になる良い見本だと思いましたね。

    

《4》管弦楽と吹奏楽で奏法を変えていますか? 

 

 《回答》使う技術は同じですが、考え方を多少変えている部分があります。

     

    ・例えばオーケストラでダイナミクスは強弱指定通り演奏しますが、吹奏楽ではほとんどがフォルテのつもりで演奏し、

     指揮者に「大きすぎる」と言われた時のみ小さくするよう心がけています。

 

    ・また、プロでも管楽器のピッチはどんどん高くなるので、例えば激しい曲の後半部分や、管楽器がバテてくる演奏会後半、

     それからホールが暑い時などは音程を高めに取るようにしていますし、コントラバスがよく聞こえる場面ではあえて低めに取ることで、

     管楽器にピッチが上がっていることを気づかせるようにもしています。どうしてもピッチが寄らなければ開放弦を使わないようにしたりもしています。
     ちなみに、プロのハープ奏者は吹奏楽で演奏する場合443Hzでチューニングする人が多いようです。

 

    ・管楽器が中心の吹奏楽で、視覚的にテンポを計ることが出来るのは打楽器のバチとコントラバスの弓だけですから、

     テンポが乱れがちな時は弓をより大きく使ったり身体のアクションで周囲にテンポを伝える役割もある、と思っています。

     なかなかコントラバスに注意してくれる奏者は少ないので、普段から会話の中で意識を向けさせるように努力もしています。

 

    ・テューバやティンパニと同じタイミングでピチカートをする事も多いので、そんな時は右手のアクションでタイミングを伝えるようにしています。

     これまた見てくれる事が前提になりますので、普段から信頼関係を築いておくと良いでしょう。 

《5》ポップスの曲で、エレキベースではなくコントラバス指定なんですが、ピチカートで演奏するべきですか?

 《回答》特にピチカートの指定が無ければ弓で弾きましょう。
     但し、指揮者・先生からの指示があればピチカートに変更する、アンプを繋ぐ、エレキベースにするなどの変更はアリだと思います。

     それから吹奏楽のポップスアレンジなどの場合、編曲者がピチカートの指示を書き忘れている事も非常に多いので、違和感を感じたら

     指揮者や先生に相談しましょう。

 

《6エレキベースとピックアップ、どのように使い分けていますか? 

 

 《回答》基本的にはコンサートマスター、指揮者と話し合って決定します。練習の場所に作曲家や編曲者がいれば意見を伺うこともあります。

     コントラバスとエレキベースは同じように簡単に演奏出来る楽器だと勘違いしている人も多いので、きちんと説明してあげましょう。
   

《7》大学進学にあたり、吹奏楽でコントラバスを続けるかオーケストラに入るか悩んでいます。

    吹奏楽出身者がオーケストラに入るのはやはりとても大変なものなのでしょうか。 

  

 《回答》曲の難易度は一気に上がると思いますが、個人的には、コントラバスを弾くならオーケストラの楽しさは知っておいて欲しいですね。

     入ってから頑張れるかどうかはあなたがコントラバスをどれくらい好きかにかかっていると思います。

 

《8》今はどんな楽器を使われているのですか? 

  

 《回答》200年前のドイツのオールドを持っています。

 

《9》インターネットではいろんな奏法の情報があって、どれが良いのか分かりません

  

 《回答》インターネットから正しい情報を得るのは非常に難しいです。

     そもそも感覚が大きな割合を占める音楽において、文字で楽器の技術を学ぶ事には限界があります。
     
     ネットの情報では、特に匿名のものについては信頼性を疑うべきだと思います。名前を出していない時点でその人は責任を負っていません。
     後は名前を出している人が普段どのような活動をしているかを見て、自分が信頼できる奏者・情報かどうかを見極めましょう。
     忘れてはならないのは「タダほど怖いものはない」という事です。

 

《10》顧問の先生が演奏会に行く事を許可してくれません。

 

 《回答》部活動で楽器を弾く以上、顧問の先生のいう事は絶対でしょうから、許可して貰えなかったら仕方ないですね。
     ただ、もし私なら、本当に行きたい演奏会があって、部活がそれほど大切ではない練習内容なら、仮病を使ってでも演奏会に行きます。
     会場で生の音を耳にして、演奏している姿を見る事はとてつもない刺激、財産になります。

     私はよく生徒たちに「10回の合奏より1回のコンサート」と言いますが、それほどコンサート会場に行くことは重要だと思います。

     生徒さんが勝手に先生を怖れて言い出せないケースもあるようですが、一度きちんと先生に話してみてはどうでしょうか。
     ちゃんとした先生なら、演奏会を優先してくれるでしょうし、許可出来ないとしても納得できる理由を説明してくれるはずです。

 

《11》プロはどれくらいの練習で本番に臨むのですか?

  

  《回答》オーケストラの定期演奏会の場合、だいたい1日4コマ(1コマ1時間)の練習を3日間、それに当日のゲネプロを経て本番に臨みます。
      曲目によっては練習1日、またはゲネプロのみという演奏会も最近はかなり多いです。
      ドラマやCMで流れる挿入曲を録音するスタジオレコーディングでは、現場に行くまで何の曲か知らず、初見で録音という事もよくあります。

      これまでの練習の積み重ね、経験、そして日々の努力によって少ない練習でも弾ける技術を身につけているといえます。

 

《12》吹奏楽、管弦楽、室内楽、ソロどれが一番楽しいですか?

 

  《回答》ソロ以外はどれも楽しいです 笑 言葉にするのは難しいですが、それぞれに楽しさの質が違いますね。
      でも、最近はソロの練習をすることも大切だとは思っています。

 

《13》オケとブラスのどちらが好きですか?

 

  《回答》演奏するのはどちらも好きですが、普段聴くのは管弦楽作品ばかりです。

 

《14》吹奏楽部でコントラバスを担当しています。全国常連校のコントラバスの人を参考にしていますが、

    他にどのようなところの演奏を見れば良いですか?

 

  《回答》正直なところ、全国常連校といっても、一部を除いてコントラバスのレベルはどこも大して変わらないと思います。
      参考にするならプロの演奏にしましょう。特に、せっかくコントラバスを担当するならオーケストラのコントラバスを見て欲しいです。

 

《15》幼い頃はどんな音楽を聴いていましたか?また、最近はどのような音楽を聴きますか?

 

  《回答》幼い頃は自宅で両親がピアノやホルンのレッスンをしていたので、自然とそれらが耳に入っていたと思います。

      小学生くらいから親戚の影響でビリー・ジョエルにハマり、洋楽をよく聴いていました。

      リチャード・マークス、ブライアン・アダムス、ポリス、フィル・コリンズなどですね。

      邦楽は安全地帯、オフコース、杉山清貴といったところを良く聴いていました。

      最近は自宅ではあまり音楽を聴きませんが、移動中はジャズやクラシックのゆったりした曲を流すようにしています。

 

《16》生まれ変わったらどの楽器を演奏したいですか?

  

  《回答》ピアノはきちんとやっておけば良かったと思っています。弾けたらカッコいいだろうなと思うのはチェロ。

      もし生まれ変わってメンタルが強かったらホルンも吹いてみたいですね。

《17》吹奏楽の世界で、変だと感じるところはありますか?

  

  《回答》たくさんあります。

  
      一番気になっているのは、パート譜全ての小節に小節番号を書き入れる風習。
作曲家が何のために練習番号をつけているのか分からなくなりますね。

      「先生が小節数で指示を出し、早くそれに反応出来ないと叱られるから」という理由のようですが、ちょっと理解に苦しみます。

      作曲者は練習番号をつける事で曲の構造を分かりやすくしてくれていますし、練習に集中していれば、次にどこを演奏させられるかだいたい予測出来る

      はずです。小節数はページの左端の小節にだけ記入し、そこから数えれば十分だと思います。

      ちなみにプロのオーケストラでは、小節番号が無い場合を除き、指揮者は絶対に「Dの4小節前から」など、練習番号で指示を出します。
  

      コントラバスで言うと、まず1人1本の譜面台を使うこと。オーケストラ同様、2人で1本にしたほうが利点は遥かに多いです。

      それから、コントラバスの正面を極端に客席に向けること。G線が遠くて弾きにくいし、首だけ指揮者を向いている姿は滑稽ですらあります。  

 

《18》なぜ「弦バス」と呼ばれるのを嫌がるのですか?

 

   《回答》逆に、「コントラバス」って略さねばならないほど長い言葉でしょうか。最近は「ストベー」「弦べ」さらには「弦」と呼ぶ事もあるようですね。

      もちろんどう呼ぼうと自由ですが、「弦バス」は日本の吹奏楽の世界でしか通用しないこと、プロ奏者は圧倒的にその呼び方を嫌っているということ、

      それだけは知っておくと良いと思います。例えば日本のオーケストラでヴァイオリン奏者に「弦バス」と言ったらほとんど通じません。

      ちなみにプロの日本人指揮者は「コントラバス」「ベース」、海外の指揮者は「コントラバス」「ダブルベース」と呼ぶ事が多いです。

 

 

《19》楽器にシールを貼るポジションマークについてどう思いますか?

 

  《回答》別に構わないと思います。ガムテープを貼ったり、鉛筆で指板に書くよりも楽器には優しいです。
      僕も貼っていますし、プロでも最近は貼っている人が多いのですが、これはあくまでも目印で、実際の演奏中にはほとんど見ません。

      吹奏楽部の人はシールを貼ったら楽譜を見ないでシールばかり見てしまう人が多いので、これが非常に問題だと思います。

      楽譜や指揮者、そして他の楽器とのコンタクトなど見なければいえない場所はたくさんあるので、シールはあくまでも目安にしましょう。
      それから、シールを貼っても調弦が狂えばピッチは合いません。最後は耳を使う、という事を忘れないようにすると良いですね。

 

《20》どんな奏者の演奏を聴けば良いですか?

 

 《回答》やはり世界でも活躍しているプレイヤーの演奏を聴いて欲しいです。中でもCDを出しているプレイヤーを挙げてみると

 

     日本人・・・河原泰則さん、永島義男さん、池松宏さん、吉田秀さん、山本修さん、石川滋さん、幣隆太朗さん、深沢功さん

           高橋洋太さん、ブラックバス・クインテット

     海外・・・・ゲーリー・カー、ルードヴィヒ・シュトライヒャー、クラウス・シュトール、カタリン・ロタール、クラウス・トゥルンプ

           ボゾ・パラドジーク、ボグスワフ・フルトーク、エディクソン・ルイス、オルケストラ・ド・コントラバス、オクトバス4

     

     といったところが有名です。

      
     エディクソン・ルイスボゾ・パラドジークはYoutubeのチャンネルで演奏を公開しているので、ぜひ聴いてみてください。
     
 

     ただ、ソロの時は硬めの音色で演奏している方が多いので、コントラバス本来の響きを聴きたければオーケストラや室内楽の演奏を聴くのが良いと
     思います。シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」ではコントラバスも活躍するので、楽しく聴く事が出来ると思います。

     それから、最近はスマホやパソコンで音楽を聴く人が多いと思いますが、それらのスピ―カーでコントラバス本来の音は絶対に聞こえません。
     せめて低音がよく響くスピーカーに繋ぎましょう。
     もちろん、コントラバスの響きはライヴで聴くのが一番ですから、一番良いのはコンサート会場に行くことです。